一年の月の名前の由来と歴史 

英語の月の名前の変遷について調べてみました。

隠れている数詞

一年の月の名前は英語で、

1月:January
2月:February
3月:March
4月:April
5月:May
6月:June
7月:July
8月:August
9月:September
10月:October
11月:November
12月:December

なわけですが、よく見ると数字が隠れていることに気が付きます。

September(9月)には、Sept。これはフランス語の「セット(7つの)」
フランス語でも9月は、Septembre。
実は、Septemberの語源は、ラテン語のseptem(英語のseven)。
septとsevenは似てるでしょう。

October(10月)には、Octo、これは8を表す接頭語。
8本足の octopus(タコ)で有名。
ラテン語でoctoは8の意味。

November(11月)には、Novem。
ラテン語のnovemは9の意味。
novemと英語のnine、フランス語のneufは似てるといえば、似てる。

December(12月)には、Decem。
英語で、decadeは10年間。dec- や deca- は10の意味の接頭語。
decは、ギリシャ語のdeka(10の意)に由来します。
ちなみに、deci- は逆に1/10の意味。

化学を勉強すると、ギリシャ語由来の数字の接頭語はよく出てくると思います。


で、面白いのは、なぜか、2ずつずれていること。
9月に7、10月に8、11月に9、12月に10。

ラテン語の辞書に書いてあるには、古代ローマでは、今の3月から一年が始まったとのことです。

それが変更になったのは、西暦紀元前153年のこと。

理由は軍事的・政治的なことのようで、ヒスパニアで起こった反乱の鎮圧のため、コンスルと呼ばれる行政官の任期を繰り上げるため、新しい月、JanuariusとFebruariusが今の3月Martiusの前に置かれたのだそうです(参照:「世界大百科事典」)。

もともと、閏年もあまりよく考えられていなかった古代ローマの歴(前153年以前)はいわゆる農事歴のようなものであり、冬季の2ヶ月は歴にさえいれず、一年を10ヶ月としていたのですが、その冬季の2ヶ月に名前をつけて、一年の始まりを2ヶ月早くしたというわけです。

たまに、7月と8月に、カエサルとアウグストゥスが自分の月を挟んだから、2月ずれたというふうに思っている人がいるようですが、それは間違いです。2月ずれたのは、西暦紀元前153年ですが、カエサルやアウグストゥスは、それから100年後ぐらいに登場した人々です。(カエサルは前100年ごろ~前44年。アウグストゥスは前63年~後14年。)


それで、前153年に、1番目の月Martiusが、その年の3つめの月となり、以下一つずつずれて、7番目の月Septemberが9月、8番目の月Octoberが10月、9番目の月Novemberが11月、10番目の月Decemberが12月になったというわけ。

ちなみに、ラテン語の月の名前を書いておくと、

1月:Januarius
2月:Februarius
3月:Martius
4月:Aprillis
5月:Maius
6月:Junius
7月:Quintilis
8月:Sextilis
9月:September
10月:October
11月:November
12月:December

辞書によると、これらは全部形容詞だから、この前に、mensis(月)が付くべきだそうです。

面白いことに、9~12より前の月にも、同様に数字が隠れていることに気がつきます。

7月 Quintilis には、quintet(クインテット、五重奏)にも出てくる、quin。
これはイタリア語のquinto(5番目の)に由来するそうです。

8月 Sextilis には、sex-。これは、性の意味のsexではなくて、six(6の)の意味の接頭語。
ラテン語では、6のことをsexといいました。

ここで、二つ疑問が生じます。
一つは、1~6月には数字がないとすれば、どんな語源なのか。
もう一つは、7月や8月は、どうして、JulyとAugustと大きく名前が変わり、「数」が見えなくなったのか。



1~8月について、辞書で調べてみました。

まず、1月。
英語でJanuary、ラテン語でMensis Januariusは、「(mensis, month) of JANUS」からとのこと。
・Janusは、ローマ神話のヤヌス。頭の前と後ろに顔を持った神で、物事の初めと終りをつかさどり、戸口や門を守護した神とのことです。一年の最初に相応しい神ということですね。
この月と2月は、改暦とともに、新しく加えられたようです。
・ちなみに、英語でJanus-facedといえば、「顔の二つある」「二心のある、人を欺く」という意味があるそうです。
・さらに、ラテン語では、janus には有蓋街路、アーケード、玄関、車寄せの意味があり、januaには、戸、扉、門、入口、通路の意味があります。

次に、2月。
英語でFebruary、ラテン語でMensis Februariusは、厄払いの儀式の月とのこと。
ラテン語のfebruaは、清めの祭りのことだそうです。
古代ローマでは、冬の間には戦争はせず、春になると戦争をしたので、その前段階として、清めの儀式をしたのかもしれません。

3月。
英語でMarch、ラテン語でMensis Martius。
よく知られているように、これは軍神Marsの月の意味。
やはり、古代ローマでは、春の訪れとともに軍事行動に出るのが常だったので、そのためではないかと推察します。
軍隊=行進と連想しやすいですが、行進を意味するmarchは、語源が異なるようです。

4月。
英語でApril、ラテン語でMensis Aprilis。
これは語源がはっきりしないようですが、ラテン語の「アフロディテの月」からという説があるようです。別の辞書には、「開花の月」が原義と書かれていました。

5月。
英語でMay、ラテン語でMensis Maius。
これは、ローマ神話の繁殖・成長の女神Maia(マーイア)の月とのこと。

6月。
英語でJune、ラテン語でMensis Junius。
これは、ローマ神話のユピテルの妻、結婚の守護神Juno(ユノ)の月の意。
・June bride(ジューン・ブライド、6月の花嫁)の話は有名。

7月。
英語でJuly、ラテン語でMensis Quintilis(5番目の月)。
西暦紀元前44年、3月15日にカエサルが暗殺され、カエサルを追悼し記念する盛大な式典がこの月に行われたためか、カエサルの誕生日が7月13日(説)だったためか、ユリウス暦を記念してか、もしくはうちの複数の理由によってか、その年から、この月はJuliusと改称されたそうです。
・歴史上最も有名なカエサルの名前は、Gaius Julius Caesar(ガイウス・ユリウス・カエサル)。古代ローマの貴族の名前の付け方によって、Gaiusがいわゆる名で、Juliusは家門、家系を表し、Caesarが姓(ファミリーネーム)を表します。
・後に、「カエサル」自体が、「皇帝」を意味する言葉になりましたが、カエサル本人は、皇帝にはなりませんでした。

8月。
英語でAugust、ラテン語でMensis Sextilis(6番目の月)。
これは初代皇帝アウグストゥス(Augustus Caesar)の名にちなんでMensis Augustusと改称され、西暦紀元前8年以来、この名前になったようです。理由はユリウス暦の実施者であるからという説があります。8月が選ばれたのは、アウグストゥスの誕生日が8月だったからという説がありますが、アウグストゥスの誕生日は前63年9月23日(Wikipedia)。
・辞書によっては、「元来8月はOctoberであった」と書かれているものがありますが、「元来、今の8月は6番目の月Mensis Sextilisであり、今の10月が8番目の月Mensis Octoberであった。」というのが正しい。そして、Augustusが改称させたのは、Octoberではなく、Sextilis。
・ちなみに、ゴルフでよく出てくる地名Augustaは、女性の名前でもありますが、ローマの皇帝時代では、皇帝の母、妻、娘、姉妹などの尊称だったそうです。Augustusが語源と辞書には書かれていました。
・また、アウグストゥスは、Octavius(オクタヴィアヌス)が皇帝になったときの副名ですが、これは、Octa- が出てくることからも分かるように、8番目の子供ということで、古代ローマではよくある名前のようです。8番目でなくてもつけることがあったそうなので、オクタヴィアヌス自身が8番目の子供かどうかは不明。



ユリウス暦について

・ユリウス暦は、カエサル(ジュリアス・シーザー)が、古代ローマを支配したとき、ギリシャやエジプトなどの知識人も使って作らせた歴であり、西暦紀元前45年以後使用されるようになったものです。
・地動説を知っていたかどうかは知りませんが、今風に書けば、地球が太陽を一周する時間を365+1/4日とみなし、最初の3年を365日とし、4年目を366日とする暦です。
最後の年はいわゆる閏年(うるう年)であり、ラテン語ではannus bisextilisといいます。
bisextilisとありますが、バイセックスの年ではありません(笑)
あとに書くように、3月の6日前が2つあるというふうに、閏日を挟んでいたので、閏日はbissextus(2度目の6日前)と呼ばれ、これが語源と思われます。(ラテン語の6はsixでなく、sex。) ユリウス暦では、次の月の初めの日から何日遡るかで、日付を数えていたようです。
・4年目の余分な1日は2月に付け加えられ、29日とされるので、今日我々が使っている暦と殆ど同じものといえます。2月が28日もしくは29日の他、4、6、9、11月が30日であり、それ以外が31日ということも、今日と同じです(少なくともアウグストゥス以降は)。最初のころは、2月23日の後に1日を付け加えてスキップさせていたようで、2月29日というものが出来たのは後のことだそうです。
・2月に閏日を置いたのは、この月が一年の最後の月であり、それ以前流の閏日をこの月に挟んでいたことの名残りのようです。もう一つ、元々2月は29日、それ以外の偶数月が30日、奇数月が31日で、合計365日であったところ、アウグストゥスが8月を31日の月にし、以後、9、10、11、12月を、30、31、30、31日としたという説もあります。それが真実なら、それ以前にも2月29日は元々あり、閏年には24日の後に1日スキップさせて実質30日としていたということになります。(ただし、下に書く経緯をみると、とくに2月から1日とったというふうには見えません。)
・ユリウス暦への改暦のときには、一年の終りに3ヶ月余分に月が挿入され、うるう年のなかったことによるずれの補正を行ったとのことです。(これは上述の2ヶ月とは別の話。)



グレゴリオ暦について

現在使用されている西暦は、グレゴリオ暦で、1582年にローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦を改良させて制定したものです。上に書いた365日+1/4日には当然誤差があり、より正確には、365.2422日だそうです(参照「世界大百科事典」)。0.2422日を1/4日とみなすのが、ユリウス暦なので、実際の日付は4年に一度、0.0078×4日だけ、遅れすぎてしまうことになります。宗教的に重要なのが春分の日3月21日だそうで、この日が、どんどん夏に近くなってしまい、本当の春分の日からずれてしまうことを防ぐのが、教皇の目的だったようです。カエサルの改暦から、グレゴリウス13世のことにいたるまで、このずれは積算されて、10日にもなっていたそうです。改暦の結果、1582年10月4日の翌日を、10月15日として10日とばし、以後、閏年を400年で3回省くことになりました。

ちなみに、閏秒といわれているものは、地球の自転の不整によるもので、閏年とは異質のものです(Wikipedia)。



変遷を時系列でまとめると次のようになります。

前153年以前のローマ歴
擬似太陽暦、太陰太陽歴
平年を355日、閏年を377日または378日とし、22日または23日の閏日を、現在の2月Mensis Februariusの22日と23日の間に挟んだ。
冬の2ヶ月間を除く1~10月しか月の名前がなかった。
今の3月Mensis Martiusが一年の最初の月であり、月の名前の数詞が実態に一致していた。

前153年改暦~前46年以前
冬の2ヶ月間に名前をつけて、一年を12ヶ月とした。
一年の始まりが今の3月Mensis Martiusから、新しく挿入された最初の月Mensis Januariusになった。
そのため、月の名前の数詞が実態に一致しなくなった。
日数は、1~12月の順に、29、28、31、29、31、29、31、29、29、31、29、29日で合計355日であり、閏年の調整は、恣意的に行われていた。
閏日の挿入は古代よりの名残りで2月22日と23日の間になされた。

前45年改暦~1582年以前
ユリウス暦に改暦され、閏日の調整がシステマティックに行われるようになった。
前46年は前45年の始まりを実態に合わせるために、445日あることになった。
すなわち、余分な月が3つ挿入された。
日数は、1~12月の順に、31、28、31、30、31、30、31、31、30、31、30、31日で合計365日になった。(ユリウス暦の実施者アウグストゥスによる?)
閏日の挿入は古代よりの名残りで2月23日の後になされたが、後に2月29日を設ける形になった。
前44年に7月がMensis Juliusに。これが、Julyの語源。
前8年に8月がMensis Augustusに。これが、Augustの語源。

1582年改暦
グレゴリオ暦に改暦され、閏日の扱いが修正されて、より正確な歴になった。





コメント

私…こうゆう話、すきです

数字が隠れているの面白いですね

桜さん、こんばんは

なかなか面白いでしょう~(^-^)
意外に知られてないことみたいです。

7月は英語でJuly、八月がAugust。ジュリアス・シーザーとアウグストゥスの名前に由来しているのは予測がつきましたが、何故7月と8月なのかは検討がつかず、検索してみたらday_diamondさんのブログにたどり着きました。大変勉強なる記事ありがとうございました。勝手にリンクしてしまいましたがお許しいただければ光栄です。

Meta_Monkeyさん、こんにちは

はじめまして(^-^)
リンクしていただいてありがとうございます~。
興味をもっていただいて、うれしいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。。

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