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ブショネとは何か - 調べてみました 

ブショネ(ワインのコルク臭・コルクティント)


- その定義・意味・発生理由・頻度・原因物質・見分け方 -




1. 概説

 コルクに起因するワインの損傷をブショネ(bouchonee)という[1-9]。

  bouchon: 瓶などの栓、コルク
  bouchonne(e): (ワインが)コルクの味がついてしまった
  corky: コルクの(ような)、(ワインが)コルク臭い
  corked: (ワインなど、コルクのせいで)味の落ちた

 コルクに生息する微生物(カビやバクテリア)の作用によって、2,4,6-trichloroanisole(2,4,6-トリクロロアニソール、以下TCAと略)などの原因物質が生成される。

 TCAはコルクに生えるカビの作用によって、コルク材に含まれる成分(TCP、リグニンなど、次章「2.原因物質」参照)と塩素から生成する。塩素はコルクの消毒剤に含まれるもの、自然界に存在するものが原因と考えられている[4,9]。他に、製造、保管、輸送時の環境から移行することもあると考えられている[2,9]。

 TCA以外に、Guaiacol、1-octen-3-one、1-octen-3-ol、2-methyl-isoborneol、Geosmin などの物質も原因と考えられている[9](「2.原因物質」参照)。

 ブショネには非常に判別の困難な軽度のものから、誰にでもわかる重度のものまである[6]。

 ブショネを起こしたワインには、下の3.に述べるような異常(主に不快な臭い)がある。



補足:

 (i) ワインの傷み全般について「ブショネ」という言葉を使う人もいるようだ。
 (ii) ワインの需要が増えたために品質の悪いコルクが使われるようになったため増えたという説がある[1,4]。
 (iii) [4]によると、1990年代後半からコルクメーカーは塩素消毒をかなり減らし、過酸化水素水などの別の方法に変えているが、ブショネはなくなっておらず、消毒剤に含まれる塩素のみが原因ではないと考えられる。
 (iv) カビは正常な状態のコルクにも生える。
 (v) [9]によると、初めて指摘されたのは20世紀初頭。一方、[4]には、17世紀から知られていたと書かれている。(いずれも出典不明。)



2. 原因物質

 [9]には化学分析の結果が引用されている(原典不明)。

  
物質 閾値 香りの表現
Guaiacol 20 ppm smoky, phenolic, medical
1-octen-3-one 20 ppm mushroom, metallic
1-octen-3-ol 20 ppm mushroom, metallic
2-methyl-isoborneol 30 ppb earthy, musty, muddy, camphor
Geosmin 25 ppb earthy, musty, muddy, garden soil, beetroot
2,4,6-trichloroanisole (TCA)   1.4-10 ppb   musty, mouldy, wet newspaper, dank cellar


 ただし、これらの多くの物質は正常なワインにも含まれている。
 コルク臭の原因の60%は、最後のTCAによる[9]。

  ppm: parts per million、100万分の1
  ppb: parts per billion、10億分の1

  phenolic: フェノール類の
  musty: かび臭い
  camphor: 樟脳
  beetroot: ビート(野菜)の根
  mouldy: moldy、かび臭い
  dank: 湿っぽい

 他にも、[4]では、原因物質として、TeCA(2,3,4,6テトラクロロアニソル)、PCAを挙げている(原典不明)。

 [9]に書かれている臭いの原因物質に関する記述(原典不明)を要約する。

(1) 2,4,6-trichloroanisole(TCA)
 TCAは閾値が低いため、様々な原因が考えられる。
 2,4,6-trichlorophenol (以下TCPと略)が微生物(カビなど)によってメチル化され、TCAが生成される。TCPは過去に木材の保存のためによく利用されており、コルク樫の森で散布や塗布されたものがコルクに残りTCAに変質したと考えられる。コルク中に含まれるリグニンが分解されてフェノールとなり、次亜塩素酸で漂白をする際にクロロ化されてTCPが生成することも知られている。他に、輸送時に船倉の壁や床の塗料に含まれるTCPやTCAがコルクに移行したという報告もある。

(2) Guaiacol
 コルク樫に含まれるVanillin(ヴァニリン)がある種のバクテリアによって分解され生成する。ワイン製造中にオーク樽から抽出され、閾値(20 ppm)以下の濃度で健全なワインにも存在することも知られている。

(3) 1-octen-3-one/1-octen-3-ol
 前者は健全なワイン中にもわずかながら含まれているが、後者は通常のワインには含まれない。コルク中の脂質がカビによって代謝されて生成する。1-octen-3-olが酸化されて1-octen-3-oneが生成する。

(4) 2-methyl-isoborneol/Geosmin
 水道水などのかび臭の原因物質。土壌細菌や藻類によって生成する。コルクの製造の最初の過程で、コルク材を乾燥させるため1年近く野積みにする際に、土壌にいる微生物が関与して2-methyl-isoborneolやGeosminを生成する。さらに、2-methyl-isoborneolとGeosminはコルクから単離された数種類のカビによって生成する。




3. ブショネになったワインの状態

(1) においの異常

  (a) かび臭い臭い、ホコリっぽい臭い[6,9]
  (b) 濡れたダンボール[2]や新聞紙のむれた臭い[2,5,9]
  (c) 濡れたブロック塀[1]や紙粘土[2]の臭い
  (d) カルキ[1]、漂白剤[6]、防虫剤[2,9]などのツンとする臭い。
  (e) ゴムのようなトーンの高い臭い[2]
  (f) 傷みかけの野菜[1]、古くなった干草[2]。

他に、

  (g) 香りに伸びがない[2]、ワインの香りが全くなくなる[3]


 [2]には、香りそのものがスポイルされて、途中でつまってしまったか窒息してしまったかのような窮屈な感じ。かっては私もよくこれを「閉じた」状態と勘違いしていた。 という記述がある。

 [7]には、ブショネは一言で言えば、「暗黒の世界」。かび臭いのはすぐわかりますが、微妙な物は、香りは閉じているというか深い暗闇のような感じで、飲むと舌の奥に苦みのようなものを感じます。という記述がある。

 上に引用した[9]に引用されているデータとの対応をみると、とくにTCAが主な原因と考えられるのは、(a)、(b)、(c)。

 さらに、(d)は Guaiacol に、(f)は Geosmin に主な原因があると考えられる。


 軽度のブショネは見過ごされることが多い(下記参照)。

参考:
 [3]には、ブショネには強弱大小があり、弱小の場合は一般的には意外と気が付かないことが多く、プロでも見過ごすケースがあるという記述がある。

 [6]には、軽度のブショネは、ソムリエにも判らない人も少なくないという記述や、日本のワインを扱っている飲食店全般のスタッフの方々はブショネに気付かないどころか、「ブショネって何?」という人が多いのが実情ですという記述がある。

 [7]には、極端なものを除き、ブショネを判断できるソムリエは少ないと考えた方が良いでしょう。それはワインスクールなどでブショネを教えないからです。(劣化したものも)ブショネは「スパイシー」、劣化は「沢庵香」とすり込まれているソムリエが多い。 という記述がある。


(2) 味わいの異常

 [1]によると、味わいのバランスもくずれ、ざらつきがでてくるとのこと。
 上にも引用したように、[7]によると、舌の奥に苦味のようなものを感じるとのこと。


(3) 見た目の異常

 一般に、見た目ではわからないと考えられている[4,7]。



4. ブショネの頻度

 結論として、軽度のものまで含めて、現在では3~5%の範囲にあると考えられる。

 以下にブショネの頻度に関する記述を引用する。

  蔵付きブショネと呼ぼうか、熟成中にセラーの壁のカビや建設材料などの影響をうけ、ブショネになってしまう例もある。出荷前にブショネ(大量の)を発見し、出荷をキャンセル、回収をする心ある造り手もいる(ベガシシリアは昨年、多くの回収をしている)。
 トゥールダルジャンでは、多い週だと毎日1本はでている。平均しても2-3日に1本の頻度にはなるだろう(トゥールダルジャンはディナーしかないので開けるワインの本数は多くても1日に30-40本)。 [1]

 ものの本に寄れば、ブショネの確率は5%前後。一時は8%ぐらいあったらしいが、その後、問題の原因となるコルクの品質管理が向上したりして、現在は漸減傾向にあると聞いている。
 ブショネの発生比率は3%程度にまで減ってきていると言われている。 [2]

 その大小を含めれば全体で3~5%くらい。 [3]

 ワインスペクテーター誌の意見では2000年頃から発生率が低下して来ている [4]

 コルク臭の頻度については様々な報告がされており、2%(1983)、5-6% (1988 California)、3-4% (2000 France)等の数値が挙がっています。 コルク臭の検出が人間による官能検査に頼っているため、数値でふるい分けられないことが現状の把握を困難にしています。 [9]





参考URL:
[1] ワイン・ショップ、イーエックス
[2] S's Wine archive
[3] 山王セレクション/コラム
[4] ワインと模型と神社の徒然
[5] にゅぶにゅぶ
[6] TERU ME WINE
[7] ほんとうの味とサービス
[8] ワイン用語
[9] KIZAN WINE New! ワイナリー便り vol.63 2001/8; vol.63 2001/9



追記(2009/2/5):リンクを詳しくしました。





コメント

ブショネについて、ものすごく細かく調べましたね!
出荷前にブショネがしたからと、出荷中止をすることも
あるんですね。ワインが勿体無いですね。

Blue Blueberry さん、こんにちは

後で自分が見て役に立つようにと思ってまとめておきました。

一つだけだと、その人の思い込みというおそれもあるから、沢山調べて共通項だけ集めました。実際、細かいところがちょくちょく違って書かれているし。。いわゆるワイン通の人(一般人、業界人とも)には、けっこう思い込み激しい人が少なくないみたい。

ロットごとブショネとか、セラーごとブショネとかいうこともあると書かれているものもありましたね。。。丸ごとコルクが不良だったり、どこかの塗料に原因になる化学物質が多く含まれていたりのケースでしょうね。

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