[時事] 日本人科学者4名のノーベル賞受賞 

「ノーベル賞を日本に盗まれた」 伊学会が物理学賞に異議(共同通信)

この記事の最初の鍵括弧の言葉は、イタリア物理学会という組織が何らかの異議を公式の見解として公表したのか、それとも他の誰かが言っていることなのか、共同通信の記事の書き方はあまりにも曖昧すぎます。

普通に読めばイタリアの物理学会が「盗まれた」という言葉を使ったと読める記事になっているけど、それはあまりにも考えにくく、その点をぼかして書いているこの記事は、読んでいてフラストレーションを覚えます。


多分、イタリアの大衆紙(主要紙と記事にはあるが)が、読者の注意を引いて売り上げを伸ばすために、センセーショナルな見出しとして、「日本にノーベル賞をもっていかれた」ぐらいのイタリア語で書いたのを、共同通信の記者が、意図的にか、さらに強調して「盗まれた」と訳したのではないかな?

そして、その見解はそのイタリアの新聞の会社が状況を描写するものとして書いた見出しであって、イタリア物理学会という組織の公式の見解ではないと思われます。

イタリア人の物理学者に異議を唱える人はいるだろうけど、あくまでもカビボ氏が受賞者に含まれなかったことについての異議であって、「盗まれた」とまで言う人は殆どいないはずです。それは受賞した仕事の内容を少しでも理解できればわかるはず。

共同通信の記事は非常にレベルが低いことが多い。とくに海外の新聞を横滑りで引用したような記事は、ごく少数の記者の目を通してみたものがニュースソースになっていて、国内の共同通信社の人のチェックが働かないから、その少数の記者の誤解や不見識がそのまま反映されることがあります。



<ノーベル賞>物理学賞に日本人3氏 南部陽一郎氏と小林誠・益川敏英氏

誤解する人が少なくないと思われるのだけど、受賞したのは最近だけど、これは日本の科学のレベルが最近急に進歩したことを意味するわけではありません。ノーベル賞をとった彼らの仕事は30年以上前のものであり、彼らの受けた教育や文部科学行政は、30~40年以上前のものです。

ところが、最近の日本の文部科学政策は、むしろ、そういう過去を否定し、全く逆行する施策をほどこしています。

すなわち、最近の日本の文部科学政策は、数十年前とは異なり、

(1) すでに多くの人が興味をもっているようなことを、
(2) 短期的に結果の見えるような計画の元、
(3) 何に役に立つかを出来るだけアピールしつつ、
(4) できるだけ沢山の予算を獲得して(すなわち沢山お金を使うような方法で)実行する

ことを奨励しています。

ほんの20年ぐらい前は、日本の研究者も、日本の研究のメリットは腰を落ち着けて長期的な視野で研究が出来ることと言っていましたが、最近では、沢山予算を取る人がほど偉いという風潮です。

とくに、何をやっているのか一般人にはわからない研究をしている科学者は、経済界からの標的になりました。「数十年後、百年後に、もしかしたら役に立つかもしれない」などという、悠長なことのために使うお金は日本にはないという理屈です。

こういう流れは全て、ここ十数年の

 バブル崩壊 → 不景気 → 自信喪失と予算不足
  → (うまくいっているらしい)アメリカを真似して競争させよう

という世相からくるものです。

しかし、こういう政策は、予算が潤沢にあり、世界中から沢山の人材が集中するアメリカのような国では成功するかもしれませんが、日本のように限られた予算を激しく奪い合うような国には向かないでしょう。

誰が言い出したか知りませんが、「選択と集中」という戦略は、経済や工学の分野ではよくても、どこから成功の芽が出るかわからないような基礎科学の世界には本来合わないものです。

実際、過去のノーベル賞で、計画どおりの研究で成果が出たようなものがどのぐらいの割り合いあるかを調べればすぐにわかるでしょう。多分、そういうものは全体の1~2割もなく、殆どは何らかの失敗から出たものや、成功するとは本人も思っていなかったような、地味な研究から出たものが多いはずです。

こんな今の日本の科学の風潮では、これから30~40年後にノーベル賞がとれるような研究者が出るのかははなはだ疑問です。


コメント

なるほど!

失礼ながらお待ちしていた内容です(^^;
私にはよくわからないのですが、興味深く熟読させて頂きました!

にゃんぴんさん、こんにちは

おぉー、こちらではお久しぶりです(笑)
最近とくに忙しそうですが、きっと正念場なんでしょうね。
うまく乗り切っていけたらいいですね。。。

日本の科学力はすごいなって
コメントしている人が
いたけれど・・
なんかノーベル賞は個人の努力と忍耐のような気がします

今の日本で一生懸命とか努力や個性を
潰してる気がする
空気を読むなんて横並び推奨
平和でどんな事でも出来る時代なのに


桜さん

科学には多様性や失敗を許容する社会のゆとりが必要なんですよね~。
今の日本はそれに逆行しているから、このままいくと、日本の科学は根絶やしになり、せいぜい一部の天才がアメリカに逃げて、そこで結果を出すということになるでしょうね。。。

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